グリム童話「瓶のなかの精霊」より

昔々、ひとりの貧しい木樵がおりました。

彼にはひとり息子がおり、彼はこれを高等学校へやりたいと思いました。

けれども、持っているよう与えられたのはほんのわずかな金だったので、試験を受けるはるか前に尽きてしまいました。

そこで息子は家に帰って、森で父親の仕事の手伝いをしました。

あるとき、昼の休憩時間に、彼は森をぶらつき、鬱蒼とした古いオーク樹のところにやって来ました。

そこで彼は、地中から「出してくれ、出してくれ」という叫び声を耳にしました。

その樹の根の間を掘ると、しっかり封をしたガラス瓶を見つけましたが、声は明らかにそこから出ているのでした。

彼が開けると、いきなり精霊が跳び出し、たちまち樹の半分の大きさになりました。

精霊は恐ろしい声で叫びました。

「わしは罰を受け、仕返しさせるだろう!われこそは偉大で強力な精霊-メルクリウスだ。今おまえに褒美をくれてやろう。わしを解放してくれたやつは、誰であれ絞め殺さねばならん」。

このことが少年を不安にさせ、すぐに策を思いつき、彼は言いました、「先ず、この小さな瓶の中に閉じこめられていた精霊と同じだということを確かめなくっちゃ」。

そのことを証明するために、精霊は再び瓶のなかにもぐりこみました。

そこで少年は急いでこれに封をし、再び精霊は閉じこめられました。

しかし今度は、少年が自分を出してくれたら、褒美に彼を金持ちにしてやるると約束しました。

そこで彼が出してやると、小さな襤褸切れをお礼にもらいました。

精霊が言いました、「これの一端を傷口の上に広げると、それは治り、もう一端で鋼や鉄をこすると、それは銀になるだろう」。

そこで少年が自分の壊れた斧をその襤褸切れでこすると、斧は銀に変わり、これを400ターレルで売ることができました。

こうして父と息子は、あらゆる心配事から解放されました。

若者は自分の勉強にもどることができ、後には、襤褸切れのおかげで有名な医者になったとさ。

多様性と統一性

エジプト哲学を研究して行く中で、エジプトの古文から読み取れることがあります。

それは、1つの精神とも言えます。

「多様性の中にある統一性と、統一性の中にある多様性」

です。

私たちは、統一というものを目指して、皆が1つの目標のもとに集い協力し一致団結して物事を進めて行きます。

とても崇高な想いである事に疑う余地はありません。

しかしながら、物事を推し進める中で皆が1つの指標の元に5段階に分類され、富と人間性という二元性の中で生きなければならないという強迫観念にも似た集合意識が生み出されました。

時代は巡ります。

私たちは本来、人間の持つ多様性とその中にある統一性を見いだすことができます。時代はゆっくりと、「多様性の中にある統一性を認める」生き方にシフトしているのではないでしょうか。

多様性こそが「豊かさ」であり、多様性が新しいイノベーションを巻き起こす。私はそう考えます。

周りを見渡してください。

社会では、たくさんの意見を求めていながら、それは前もって、ある程度の人たちのなかで決定されている。このようなケースが多く観られます。

それでいて「私たちはたくさんの意見を吸い上げる」と声高に叫ばれても私には滑稽に映るのです。

誰かより優れていることがそんなに快感なのでしょうか。

他の誰よりも何かを知っているということは「真」の意味で優劣の判断材料となるのでしょうか。

「知らない」でいいのではないでしょうか。

「無知」を蔑むことで「有識」の価値が上がるのでしょうか。

全てに浸透している、「生きるエネルギー」

それは肉体と心の両面に存在しています。

三次元も五次元も同次元です。

物質主義・精神主義は「主義」という「統一体」の2つの側面です。

よく船の例えで、船長は行く方向を決める。皆が行く方向を決めていては目的地に進まない。役割分担が必要だと言われます。しかし、本当の意味でそれはリーダーシップを表現しているでしょうか。

フラット化する社会と言われ、しばらくたちますが、社会はまだ明確なリーダーを求めているように感じます。

真の意味での多様化する社会。それは統一性と多様性が同時に存在していて双方のアプローチで成り立つものであると信じています。

個々の能力が集まることの力強さ。全体は個々の集合であることの再認識。

その、個々が多様性を発揮する。

抽象的な表現ですが、この思想はテクノロジー業界では徐々に浸透しているように思います。

ある本を読んでいて、すごく素敵な表現を見つけました。

時代は、懐かしい未来へ進んでいる

過去に戻ることは出来ません。しかしながら、私たちのDNAに刻まれた記憶はどこか懐かしくそれでいて新しい時代を求めていて、今、それが全体無意識として刻を進めているように感じます。

秘伝

ロジャー・ベーコン著
「第三著作」より
 
秘伝は明かされると
その効力が半減する。
 
人々は
秘伝について
何も理解しない
 
それを
明かされたとしても
平凡な用い方しかされず
 
その価値は
すっかり
失われるだろう
 
悪意あるものが
もし
秘伝を知れば
誤った用い方をして
世界を
破滅させるであろう
 
わたしは
神の意志に
逆らうこと
できないし
学問にとって
もっとも
有益なことを
妨げることも
できない
 
ゆえに
わたしは
誰もが
理解しうる形で
秘伝を
書き記すことは
しない