グリム童話「瓶のなかの精霊」より

昔々、ひとりの貧しい木樵がおりました。

彼にはひとり息子がおり、彼はこれを高等学校へやりたいと思いました。

けれども、持っているよう与えられたのはほんのわずかな金だったので、試験を受けるはるか前に尽きてしまいました。

そこで息子は家に帰って、森で父親の仕事の手伝いをしました。

あるとき、昼の休憩時間に、彼は森をぶらつき、鬱蒼とした古いオーク樹のところにやって来ました。

そこで彼は、地中から「出してくれ、出してくれ」という叫び声を耳にしました。

その樹の根の間を掘ると、しっかり封をしたガラス瓶を見つけましたが、声は明らかにそこから出ているのでした。

彼が開けると、いきなり精霊が跳び出し、たちまち樹の半分の大きさになりました。

精霊は恐ろしい声で叫びました。

「わしは罰を受け、仕返しさせるだろう!われこそは偉大で強力な精霊-メルクリウスだ。今おまえに褒美をくれてやろう。わしを解放してくれたやつは、誰であれ絞め殺さねばならん」。

このことが少年を不安にさせ、すぐに策を思いつき、彼は言いました、「先ず、この小さな瓶の中に閉じこめられていた精霊と同じだということを確かめなくっちゃ」。

そのことを証明するために、精霊は再び瓶のなかにもぐりこみました。

そこで少年は急いでこれに封をし、再び精霊は閉じこめられました。

しかし今度は、少年が自分を出してくれたら、褒美に彼を金持ちにしてやるると約束しました。

そこで彼が出してやると、小さな襤褸切れをお礼にもらいました。

精霊が言いました、「これの一端を傷口の上に広げると、それは治り、もう一端で鋼や鉄をこすると、それは銀になるだろう」。

そこで少年が自分の壊れた斧をその襤褸切れでこすると、斧は銀に変わり、これを400ターレルで売ることができました。

こうして父と息子は、あらゆる心配事から解放されました。

若者は自分の勉強にもどることができ、後には、襤褸切れのおかげで有名な医者になったとさ。